ソニー・ワイヤレス・スピーカー SRS-X9


  2014年秋、ソニーの逸品と言って差し支えない、新しいスピーカーセットを導入した。(なお、2015年6月現在、後継機種に変わっている)

 ウオークマンだけでは物足りなくなり、部屋でも音楽を聞きたくなったのと、ソニーからコストパフォーマンスの良いワイヤレス・スピーカーが新発売され、それが滅法評判が良く、私の新しもの好きスイッチがオンになってしまったことがその理由である。

 昔、左右2本で6~70万円もした、ウーファーの直径が30cmのパイオニア製大型スピーカを買ったことがあるが、それよりいい音が聴こえる・・・ような気がする。

 しかし、音楽を鑑賞するということは、大げさに言えば結構大ごとである。


 目の前に素晴らしいオーデイオセットがあっても、その気にならなければただの箱。心配事があればまず聴く気になれないだろう。「忙しいからこそ貴重な時間をやりくりして音楽を鑑賞するのだ」という人もいるだろう。しかし、私の場合、忙しいときは聴かない。やらなくてはならないことが気になって、なかなかゆったりと音楽を聴くという心境にはならない。もし聴いたとしても上の空だろう。ついでに言えば、のべつまくなしに音楽をかけっぱなしという環境を続けていると、本当に聴くときの感動が薄れるようだ。バックグラウンド音楽をやめ、鑑賞したいときに音楽に集中する聴き方の方が経験的に感動が大きいと思う。

 今回新しいセットを貯金をはたいて(たかが5万円くらいだが)買ったのは、やはり、音楽を聴きたいという欲求があったからにほかならない。とにかく聴きたくなったのである。

 下の写真の Sony SRS-X9 ワイヤレス・スピーカー・システムが今回購入のものである。

 

  最近のソニーには、昔のモノづくり精神が戻ってきたような新製品が多くなってきたと思う。最新型のデジタル・ウオークマンにしろ、ヘッドフォン、スマートフォン、カメラなどに逸品と言われるものが増えてきた。
 ソニーピクチャーの映画とか保険業に手を出すことは悪いとは言わないが、結果的に、社員全体のもモノづくり精神を弱める働きをするもの・・と私は考えている。一般に、必要な対策を取らないまま1つの製品分野に精通した社員を簡単に配置転換してはいけない。究極的な逸品というものは長年かかって熟成するもので、図面では表現できない、人から人へと伝わる伝承的な技術なり知識や伝統は、必要な対策を打たないで配置転換することによって失われ、そこで途絶えてしまう。ひところのソニーがそうだったと思う。

 一昔前、「ソニータイマー」と言って、メーカー保証期間が切れる1年後に商品が故障するように設定されたタイマーが内部に組み込まれている・・という話が我が物顔にネット上で飛び交っていた。「その頃のソニー内部では、配置転換やレイオフが当たり前のように行われてていた・・」ということを関係者から見聞きしたことがある。恐らく、経済的目的を再優先させ、技術とはどういうものかをわきまえない経営者が多くいたのではなかろうか。

 私はどちらかと言えばソニーファンである。昔のソニーは光り輝いていた。日本もそうだった。
 孫達が日本の主体を担う頃までに、日本が立ち直ってくれないと死んでも死にきれない心境である。私はソニーファンにとどまらず、日本の再生を心から願う者でもある。
 日本がここまで落ち込んでくると、私見では日本再生の方策の1つは、やはり、モノづくりだと思う。日本を再生するためには、ソニーを始めとするモノづくり企業に立ち直ってもらわねばならない。そのために、私は、せっせと貯金を減らす所存である。

 今回購入した生まれたばかりの製品 SRS-X9 もいずれ名品と言われるようになるだろう。


 今までスピーカーには大枚をはたいてきたが、今回のスピーカーは素晴らしい。横幅50センチ位の小さいセットだが、重低音から超高音域までフラットに聴ける。ハイレゾは、高齢化によって超高音域~高音域の聴力がなくなってきているはずの私にとっては、理屈上無用の長物と一般に言われているが、音場というか演奏の雰囲気や演奏者の意欲、聞こえないようでいて意識すれば聴こえる息遣い、などの楽器が放つ音以外の要素はハイレゾだからこそ伝わってくるのだと思う。
 wave 形式でデジタル化した昔のCDを聴き直すと、こんな音まで入っていたのか・・とびっくりさせられる。演奏家の気持ちまで直にこちらに伝わってくる感じである。

 このスピーカーには最先端の研究成果と技術が詰まっている。磁気流体を使い、ボイスコイルを正しく位置決めし、振動板をうまく制動するための当初から不可欠な部品であった「ダンパー」が消えた。低音を増強するために最新型のパッシブラジエーターをスピーカー全面に2個導入したため、反応速度の早い生きのいい重低音が楽しめる。歪も極めて少ない。しかもハイレゾに対応している。ネットワークでデジタル音源を再生することが新しい。 実用出力が154wのフル・デジタルアンプをおごっているので、外部のプリアンプ・メインアンプなど不要である。これだけで用が足りる。あとは、ネットワーク上にあるHDDに格納したwave などのデジタル音源さえあれば、ほかに何も要らない。まるで夢の様なオーデイオ・セットではないか。

 スピーカー本体では基本的には音質調整はせず、 Media Go という再生ソフトのイコライザで行う。いろいろ試してみたが、私の場合、「クラッシック」モードが一番しっくりする。


 技術的なことはともかく、すべては、再生した音楽が聴く人にいかに感動を与えられるかが鍵であるが、少なくとも私が聴いた限り、今までのセットの中では一番良かったと感じている。

 ただ、問題は、オーケストラなどの大編成の音楽が、肩幅くらいの狭い空間にしか再生されないとい点。ステレオの場合、左右のスピーカー間隔を自由に広げられたから、それなりの広い空間を感じられたが
このシステムでは左右のスピーカーの間が30cm程度しかなく、音場が狭小である。

 上を見ればきりがないが、私の財力の範囲では、SES-X9 はベストな選択であろうかと思う。