拡大法
 青葉の森公園 台風15号被害記録
(2019年9月9日)
2019年9月16日制作
青葉の森公園公式サイト
 2019年9月9日未明、千葉市付近に上陸した台風15号により、君津市の東電大型鉄塔2基倒壊など、典型的な風台風として千葉県全域に 628,900軒の大停電・断水・家屋損壊などの激甚被害をもたらした。9月16日現在、家屋の損壊4万軒以上、停電・断水は依然として継続している。

 青葉の森公園も甚大な被害を受けた。当初、この報告書を作る気持はなかったが、公園近くに住む筆者は、ほぼ毎日、木々と対話しながら園内散歩をしているので、彼らとはいわば知り合いである。被害の惨状を見るにつけ心が痛んだ。その姿を記録・公表するなど可哀想過ぎると考えていた。しかし、園内を一周するまでもなく、今回の被害が公園史に残すべき激甚災害だと分かって考え直した。愛好者の1人として記録を残す義務がある。早速翌9月10日撮影を開始。枝が折れるなどの被害は従来でもあったが、今回は、大木の幹が裂けたり、根もろともなぎ倒される(「百本以上」と言う)無残な姿が強烈である。

 筆者は特定の宗教の信者ではないが、先祖を敬い、生き物にも心が宿ると考える方だ。今でも田舎に残る神に祈る諸行事はぜひ残したい。【令和】は、跪いて神の心を聞く」といった意味合いだそうだ。「今だけ・金だけ・自分だけ」良ければいい と思う軽輩が多くなった今の日本には、神のような存在を認める謙虚な心が必須だ。

 特に、さくら山(マップ)の八重桜・おはなみ広場のソメイヨシノ・青葉が池のカロリナポプラなどの大木の被害が甚大だった。さくら山については、弊サイト 八重桜の饗艶 で紹介したように全国の八重桜を集めた名園であるが、今後、いくつかの八重が姿を消すのだろう。残念である。公園が定めた「樹木18選」のうち、青葉が池のナンキンハゼ カロリナポプラの2本が倒れ、水の広場付近のニセアカシアも倒された。巨木集「樹木13選」も影響を受けているに違いない。
 さくら山に隣接する花博記念庭園近くに立っていた柏(カシワ)の大木が根本から倒れた(「根返り」)、並立していたハンカチノキも一緒に押し倒してしまった。前回の台風で倒れ、樹木医などの協力を得て一旦復活したハンカチノキであるが、今度は柏の木に押し倒されてしまった。中央広場の巨木・ヒマラヤスギの主幹が引き裂かれている姿も強烈だった。

 余談ながら、筆者の推定では、青葉の森公園のシンボルツリーは柏(カシワ)である。下写真のように、西洋庭園への入門ゲートには柏の葉のレリーフが装飾されていたり、フェンスにも同じ模様が使われている。2009年写真展の入賞副賞品として頂戴した公式ピンバッジも同じマークである。


西洋庭園入門ゲート

フェンスの模様

写真展の副賞・ピンバッジ

 以下に紹介する「まちづくり公社」によってハンカチノキも復旧作業の第1番目に養生されている。救われる思いである。

 公園の管理を委託された「財団法人・千葉県まちづくり公社」は、従来行ってきた樹木の剪定などの公園整備事業、陶器市・各種イベント計画などの園内管理・運営の評判がとても良い。客観的な評価も高い(指定管理者管理運営状況評価結果について(千葉県))。今回の復旧事業は、まちづくり公社にとっては大変ご苦労なことだと思うが、ぜひ頑張っていただきたい。

 当報告は、台風に倒れた樹木たちへの鎮魂の気持ちを込めながら以下の項目に分けて記す。

  台風15号について
  青葉の森公園について
 
 被害報告
 
 復興状況

 
さくら山の道路沿い八重桜並木の倒木 (八重桜・一葉) さくら山マップ
台風15号について 
 
台風の概要 (Wikipedia

 気象庁の予報では、台風は小笠原近海を北西に進みながら徐々に発達し、8日21時には神津島付近で中心気圧955hPa・最大風速45m/sの「非常に強い」勢力であると判定された。

 この勢力を保ったまま台風は三浦半島に接近、9日3時前に三浦半島を通過した。台風の中心は東京湾に抜けて北東に進み、9日5時前には千葉県千葉市付近に上陸した。

 台風が「非常に強い」勢力を保ったまま関東の至近距離まで接近するのは非常に珍しく、千葉市付近に上陸するときの勢力は中心気圧960hPa・最大風速40m/sの「強い」勢力であったが、関東上陸時の勢力では過去最強クラスとなる



台風の特徴

 朝日新聞デジタルによれば、
強い台風15号は9日、千葉市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま関東を縦断し、東海上に抜けた。中心付近の最大風速は約40mで、関東に上陸した台風としては今の基準で統計を取り始めた1991年以降、最も強かった。関東や東海では記録的な暴風が吹き、猛烈な雨が降った。

 気象庁によると、台風が関東に上陸するのは2016年8月以来。午後7時現在で千葉市中央区で最大瞬間風速
57.5m となるなど千葉、茨城、神奈川、東京、埼玉、福島の計23地点で最大瞬間風速が観測史上1位を記録した。

 台風の大きさがコンパクトだったため、等圧線の間隔が狭く、中心付近で強い風が吹いた。一方で、日本列島に前線がかからなかったため、浸水被害に見舞われた地域はあったものの記録的な大雨には至らなかったという。

 今回は、東電の鉄塔が2基倒壊したが、一般に風速 70m 以上にならないと倒壊しないと聞いていた。筆者が現役時代、水俣市に駐在していた折、平成11年(1999年)に台風第18号(wikipedia)が襲来した。熊本県北部に上陸した台風は、強烈な暴風が吹き荒れ、熊本県牛深市で最大瞬間風速66.2m/s、非公式の記録としては、鹿児島県下甑島の鹿島村役場(当時。現在は薩摩川内市)で最大瞬間風速83.9m/sを観測した。.

 当時水俣では。7基の鉄塔が倒壊し、停電は7日間以上に及んだ。海沿いの工場の窓ガラスはすべて壊れ、海水が直接室内に吹き込みあらゆるコンピュータ機材と端末のパソコン(約70台)が塩水で水浸しになり、回復不能になった。筆者はコンピュータ部門の責任者として全システムの復旧を担当したが、完了まで半年を要し大変苦労したことを鮮明に覚えている。

 全般的に、今回の台風15号による停電もすぐ復旧すると考えていたように見受けられたが、筆者は状況から見て1週間以上掛かるであろうと予想した。

 倒れた樹木や電柱の除去・家屋の修復も停電回復作業として必須である。切れた電線の接続だけでは済まないのだ。障害物の撤去・修復が済んだあとに、一軒一軒、漏電やショートがないかを調べなくてはならない。筆者は東電には一切関係がない第3者だが、一方的に東電に責任を押し着せることは余りにも酷である。行政やジャーナリズムに一方的に電力会社を避難する傾向が見られるのは嘆かわしいことである。9月15日午後、停電から復旧した千葉市川戸町では、漏電により出火し全焼した(朝日新聞デジタル)という。「通電火災」の可能性もある。


 青葉の森公園について
 
青葉の森公園完成記念碑 (平成9年、1999年1月) (2019年9月14日 実写)

 私見ではあるが、青葉の森公園は、総面積では引けを取るにせよ、ニューヨーク市の都市中心部にあるセントラルパーク(下写真)に匹敵する名園ではないかと考えている。

 長い歴史を保つセントラルパークと比較すると、青葉の森公園は完成から20年ほどしか経っていないまだ若い公園であるが、恐らく、多くの解決すべき課題があったに違いないこの壮大な事業を起こし、奇跡的と思えるほどのこの公園を実現してくれた先駆者たちの英断と努力に対して深い感謝と敬意を表すものである。

 現代の日本の国力などから見ると、現時点ではこのようなプロジェクトを起こし実現することは多分無理だろう。そのような視点から見ると青葉の森公園が千葉県が成し遂げた1つの奇跡のように思えてくるのである。

 青葉の森公園は、現在の千葉市中央区、つまり千葉県千葉市のほぼ中央部に位置する画期的jな都市公園として、平成8年度(1996年)に完成した。これを記念して青葉の森公園・西口に記念碑が建立された(上写真)。

以下はこの記念碑の文字起こし文である。


青葉の森公園の沿革

 明治39年畜産振興の拠点として当地(千葉県千葉郡都村大字矢作)に千葉県種畜場が設置された。
 大正初期、農商務省畜産試験場設置計画において、本種畜場が候補地となり、県に対し土地提供の要請があった。

 大正5年、千葉県は畜産業の発展振興のため、畜産試験場の誘致が有効であることから、種畜場用地21町歩及び隣接の民有地54町歩を買収して、これらの用地を国に無償で提供することとした。

 大正6年6月、国の畜産試験場が設置され、以来60有余年わたり、我が国の畜産振興の中核の試験研究機関として大いに貢献したが、昭和55年、筑波研究学園都市へ移転となった。

 移畜産試験場跡地については、市街地内に残された貴重な緑地空間でであることから、都市公園として整備し県民の憩いの場にするとともに、貴重な緑の保全、都市防災の拠点とするため、積極的な払い下げ活動を行った結果、跡地のうち52ヘクタールの用地取得が実現した。

 昭和57年度から県立青葉の森公園として整備が開始され、カルチャーゾーンには芸術文化ホールや生態園を含む中央博物館、彫刻の広場等を、レクレーションゾーンにはつくしんぼの家や遊技場等を、スポーツゾーンには野球場などの運動施設を整備し、ネイチャーゾーンには既存林を保全するなどして、平成8年度を以って緑豊かな文化の香り高い都市公園が完成した。

 この事業の完成に当たり、地元千葉市をはじめ、ご協力を賜った多くの方々のお礼を申し上げ、ここに、青葉の森公園の沿革を印し記念碑を建立する。

平成9年1月
千葉県知事 沼田 武




青葉の森公園ホームページほか
  青葉の森公園公式ホームページ
 
青葉の森公園とは wikipedia

関連ページ
(弊サイト内)
  ハンカチノキ
  危機に立つハンカチノキ(復活)
  青葉の森公園-ヒトツバタゴの花
  八重桜の競艶
  樹木18選・四季の姿 
  大きな木13選・四季の姿

 被害報告(写真)
 
青葉の森公園全体マップ(自主制作)

わんぱく広場


水の広場近く
ニセアカシア


わんぱく広場

わんぱく広場

南口駐車場(奥)

つくしんぼの家横
びわの木

 

つくしんぼの家横

おはなみ広場

おはなみ広場と
さくら山の境界


おはなみ広場と
さくら山の境界

 

おはなみ広場と
さくら山の境界



おはなみ広場と
さくら山の境界

おはなみ広場と
さくら山の境界
 

おはなみ広場と
さくら山の境界

おはなみ広場と
さくら山の境界

さくら山 

さくら山への登り口 

おはなみ広場と
さくら山の境界
 


おはなみ広場と
さくら山の境界
 

さくら山
 
 

さくら山

さくら山

さくら山 

さくら山

さくら山 


さくら山

さくら山 

さくら山 

さくら山 

さくら山
 

さくら山 

さくら山 

さくら山 

さくら山 

さくら山 

さくら山

さくら山

花博記念庭園 

さくら山
八重桜並木・一葉
 

花博記念庭園 

さくら山

さくら山

さくら山 

花博記念庭園
ハンカチノキ
 

花博記念庭園 

中央広場
ヒマラヤスギ

中央広場

中央広場 

中央広場 

西洋庭園
コウヤマキ
 

青葉が池入り口
 
青葉が池
 
青葉が池
ナンキンハゼ
 
荒久古墳近く
 
青葉が池
カロリナポプラ
 復興状況 (2019年9月17日撮影)
 災害からの復旧は「まちづくり公社」の職員・職人を中心に鋭意進められている。公園内の幹線道路沿いを優先的して整備が行われている。下の写真のように、先ず速攻で2日後に人気者のハンカチノキが植え直された。ハンカチノキを押し倒した柏の木は残念ながらカットされた。撮影中、公園の管理・運営を委託されている「まちづくり公社」の職人と話す機会があり、次のような話を聞いた。

 ●
根返りした樹木の数は、正式に数えていないが100本を超えるのではないか。
 ● 根返り樹木は、植え替えることはせずカットする方針(重機がないからかも)。
 ● 重機がないのでできない作業が多くなかなか大変だ。重機がほしい。
 ● 青葉が池の大木が多数倒された。
 ● それにしてもこんなに強烈な台風は見たことも聞いたこともない。

 千葉県全体が大災害を受け、公園だけを優先させるわけには参らないので復旧は相当長期になるのではないだろうか? 11日後の2019年9月20日、被害の全貌を把握するために園内を一巡してみたが、一時の悲観論は後退し、写真が示すように「それほど悲観することはない」という印象を持った。


 ●
おはなみ広場のソメイヨシノはダメージを余り受けていない。来年も花見が楽しめそうだ。
 ● さくら山の被害は全体の2割程度で恐らく八重桜も咲いてくれるのではないか。
 ● わんぱく広場と中央広場は風通しが良くなった感じはあるが全体としては被害は目立たない。


 花博記念庭園
速攻で修復なったハンカチノキ


花博記念庭園
カットされた柏の木


青葉が池
修復済みのヤエベニオオシマ



千葉県まちづくり公社
修復中の公社保車



整備が進む公園(わんぱく広場) 2019年9月19日撮影

おはなみ広場 2019年9月20日撮影
 
おはなみ広場からさくら山への階段 2019年9月20日撮影

さくら山 2019年9月20日撮影