拡大法
 宇宙論の展望 2018年4月25日登録
  はじめに

 宇宙論には胸が踊るような話題が盛り沢山です。私もNHKの「コズミック フロント」や、放送大学・大学院の宇宙講義受講生です。 ただし問題があって、マッサージしながら録画を視聴中に熟睡するクセがあるので、今では就寝前に視聴することで睡眠薬代わりに使っております
(w)・・

 宇宙論は大きく分けて、比較的古い「定常宇宙論」と、インフレーション理論を加えた「ビッグバン宇宙論」の2つです。今の所、後者が圧倒的な支持を受けて「標準理論」とされていますが、これだけでは説明できない問題があることが分かってきました。そこで、新しい理論として「プラズマ宇宙論」が登場、日本ではビッグバン理論が支配的ですが、欧米ではプラズマ宇宙論の支持者も相当いるようです。次世代の標準理論のダークホースではないかと筆者は考えています。

 派生的理論を含めて多くの理論がありますが、本文では上記3理論に絞って最新の宇宙論を展望してみたいと思います。

 
 NASAのマイクロ波観測衛星WMAPの観測結果画像  クリック➡拡大
(宇宙の歴史や構造に関する研究分野に大きな貢献)

 本編では下記の資料を引用させて頂きながら以下の4項目に分けて論議を進めます。引用部分の文字色はこの色です

 
 (目次) クリック➡その項目にジャンプ 

   ■1 「 ビッグバン宇宙論」
   ■2 「定常宇宙論」

   ■3 「プラズマ宇宙論」
   ■4 各論の特徴と問題点

   
(引用サイト
 
宇宙論研究の最先端について 名古屋大学大学院理学研究科 松原隆彦 cosmology サイト
 宇宙論分野に貢献したマイクロ波観測衛星「WMAP」観測終了
 WMAPの最新全天マップ公開、宇宙の10%はニュートリノだった AstroArts サイト 
 
ビッグバン宇宙論懐疑派のざれごと
 
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   ■1 ビッグバン宇宙論    目次へ

 ジョージ・ガモフは1948年「火の玉宇宙」というアイディアを発表し、先にジョルジュ・ルメートルの提唱したビッグバン宇宙論を支持した上で宇宙背景放射の存在を予言しました。当時、宇宙論においては、この ビッグバン論 とアインシュタインなどが主張する定常宇宙論が対立する構図でしたが、1965年、偶然に約3K(絶対温度)の宇宙背景放射が発見され、一躍そのビッグバン理論が確定的になり、現在では標準的な宇宙理論となっています。なお、ビッグバン理論はアイシュタインの相対性理論が予言している「重力」のみに頼って構築されています。その後、2001年打ち上げの衛星WMAPの画像(上図)」などの観測結果を受けて、このビッグバン理論をさらに確実なものにしました。ビッグバン理論によると宇宙の始まりは1点の「ビッグバン」から始まったのです。

 誕生した宇宙はその直後に急激な膨張を始めます。この段階は「インフレーション期」と呼ばれ、その膨張は光の速さを超えました。宇宙の膨張が始まることで直後に重力が生まれます。宇宙は誕生から1兆分の1の、その1兆分の1の、さらに10億分の1秒という非常に短い時間が経過するとやがて膨張の速度は落ち始め今度は熱エネルギーを放出し始めます。この現象がビッグバンです。この段階の宇宙の直径は未だ1cmほどでしたが100兆×100兆度という想像を超える高温に達していました。

 この後も宇宙は凄まじい速度で拡張を続けその速度と熱エネルギーを次第に下げていきます。こうして宇宙が誕生したのです。このビッグバンの拡張率は1mmほどの大きさから一瞬で1000億光年の広さに拡張するのと同等だったといわれています。
まるで見てきたかのように語られるビッグバン直後の様相を私達は信ずるしかありませんが、それにしてもすごい理論であることに驚嘆するしかありません。

 この理論を図式化したものが下の「宇宙の歴史のタイムライン(図)」、つまり、ビッグバン理論に基づく宇宙の 歴史をまとめたものす。この図は良くできていて、随所で見掛けることができます。

 一方、ビッグバン理論の決定的証拠とされ、2006年のノーベル物理学賞まで貰ったWMAPなどの研究成果をまっこうから批判する論文が出されています。 ビッグバンの直接的証拠を疑問視する論文

 
出典:ウィキメディア・コモンズ  宇宙の歴史のタイムライン クリック➡拡大
 
 ■2 定常宇宙論    目次へ

 「ビッグバン宇宙論」は宇宙空間という容れ物が、現在は膨張していると考える宇宙論であるに反し、「定常宇宙論」は宇宙という容れ物の大きさは未来永劫変わらないと考える宇宙論です。

 ウィキペディアによれば、定常宇宙論 は、1948年にフレッド・ホイル、トーマス・ゴールド、ヘルマン・ボンディらによって提唱された宇宙論のモデルであり、(宇宙は膨張しているが)無からの物質の創生により、任意の空間の質量(大雑把に言えば宇宙空間に分布する銀河の数)は常に一定に保たれ、宇宙の基本的な構造は時間によって変化することはない、とするものである。

 定常宇宙論は、一般相対性理論の下では静的な宇宙は存在できないという理論的計算や、宇宙が膨張していることを示すエドウィン・ハッブルの観測を受けて考え出された。定常宇宙論では、宇宙は膨張しているにもかかわらず時間とともに変化しないと主張する。この主張が成り立つためには、宇宙の密度を不変に保つために新たな物質が時間とともに絶えず生成されている必要がある。

この理論で必要な物質生成の速度は、1年間に1km3あたりおよそ水素原子1個程度という非常に小さな割合で十分なため、このような物質生成が直接観測されていないことはこの理論の問題にはならない。新たに物質が生まれるということから質量保存の法則を破ってはいるものの、定常宇宙論には多くの魅力的な特徴がある。最も特筆すべき性質は、この理論では宇宙の始まりを必要としない点である。

 1950年代から1960年代にかけては定常宇宙論を支持する研究者は数多く存在したが、1960年代終わりにはその数は目に見えて減少した。これは、1965年に発見された宇宙背景放射による所が大きい。
 
 
定常宇宙論の衰退

 同じウィキペディアによれば、主として1965年発見の宇宙背景放射により、本理論は目に見えて衰退してゆきました。


 1950年代から1960年代にかけては定常宇宙論を支持する研究者は数多く存在したが、1960年代終わりにはその数は目に見えて減少した。これは、1965年に発見された宇宙背景放射による所が大きい。1960年代終わりになると、宇宙は実際に時間とともに変化しているという考えを支持すると見られる観測結果が得られるようになり、定常宇宙論には問題があることが明らかになってきた。観測では、クエーサーや電波銀河は距離が遠い(赤方偏移が大きく、また光速が有限ゆえに遠さに応じた「過去」の)宇宙でしか見つからず、近距離の銀河には見られないものであった。ホルトン・アープは1960年代以来、これらの観測データを別の視点から解釈し、クエーサーが我々の近傍にあるおとめ座銀河団と同程度の近距離に存在することを示す観測的証拠もあると主張しているが、支持者はわずかである。

 ほとんどの宇宙論研究者は、ビッグバン理論で予言される宇宙背景放射が発見されたことによって定常宇宙論は論駁されたと考えている。定常宇宙論では、この背景放射は太古の昔の恒星から放出された光が銀河内の塵によって散乱されたものであるとしている。しかし多くの宇宙論研究者はこの説明には説得力がないと受け止めている。なぜなら、宇宙背景放射は方向による強度の揺らぎがほとんどなく非常に滑らかで、点光源からこのような分布が作られることを説明するのは難しいためである。また、散乱光に通常見られるはずの偏光のような特徴が宇宙背景放射には全く見られない。それに加えて、宇宙背景放射のスペクトルは理想的な黒体放射のスペクトルに非常に近く、異なる温度や異なる赤方偏移を持つ塵の塊の散乱光を重ね合わせてもこのようなスペクトルは到底作り出せない。スティーブン・ワインバーグは1972年の著書で以下のように書いている。

 定常宇宙モデルは観測から得られている光度 - 赤方偏移関係や光源の計数観測と一致していないように見える。…ある意味では、この不一致こそが定常宇宙モデルの功績である。多くの宇宙論の中で定常モデルは、我々の自由になる限られた観測的証拠のみによっても容易に反証できるこのような明確な予言をしているためである。定常宇宙モデルは非常に魅力的であるため、多くの支持者達が依然として、観測技術が改良されれば定常モデルに反する証拠は消え去るだろうという望みを持ち続けている。しかし、もしも宇宙マイクロ波背景放射が…本当に黒体放射であるならば、宇宙が高温高密度の初期段階から進化してきたという考えを疑うことは難しくなるだろう。

 ■3 プラズマ宇宙論     目次へ

 別の理論として、天体の大構造を電磁流体力学で扱う理論「プラズマ宇宙論」があり、ビッグバン理論の弱点を説明できるそうです。WikiPedia によればプラズマ宇宙論を以下のように説明しています。
 
 「宇宙的スケールの現象は重力だけではなく、宇宙の全バリオン物質の99.9%を占める電気伝導性の気体プラズマの運動に起因する、巨大な電流と強力な磁場の影響を大きく受けているとする。そして電磁気力と重力の相互作用によって、壮大な現象を説明できると主張する。主としてプラズマ物理学の基本である電磁流体力学の上に立脚した理論である。
 
 プラズマ宇宙論はビッグバン理論と比較して、銀河の回転曲線問題を暗黒物質という仮定の物質を持ち出すことなく簡潔に説明できる。さらに、近年発見されたヘルクレス座・かんむり座グレートウォール、U1.27といった宇宙構造体の成り立ちを説明する際、現行のビッグバン宇宙論では存在自体が矛盾してしまう程巨大な宇宙の大規模構造も、プラズマ宇宙論では矛盾無く説明できる。しかしながら、プラズマ宇宙論は宇宙マイクロ波背景放射の観測事実をうまく説明できていない。そのため、現時点では標準的な理論とみなされていない。」


 非常に複雑な形態を見せる惑星状星雲は太陽程度の質量を持つ恒星の最期の姿である。複雑な形態は重力ではなく磁場が大きな役割を果たしていることを示している。惑星状星雲もプラズマで形成されており、そこには特徴的なフィラメント構造が多く見られる。これはプラズマの自己組織化によって生み出される形であり、その内部にはビルケランド電流と呼ばれる電流が流れている。

 われわれを照らし出す太陽も同様に巨大なプラズマの塊である。太陽から放出される高速のプラズマは惑星空間を通り抜けて地球に達し、オーロラ、北極光、磁気嵐、電波障害などを引き起こす。一般に真空と言われる宇宙空間だが、このようなプラズマに満ち、プラズマ・ダイナミクスが支配する空間であり、常に休みなく変化を見せている。

 惑星、太陽系、銀河系、星間ガス、星雲、銀河団、彗星などなど、宇宙にあるすべての物質はプラズマの影響を受けている。その豊富にあるプラズマが宇宙の広い範囲にわたって重要な役割を果たしている。プラズマ宇宙論の創始者ハンネス・アルベーンは次のように述べている。

 「宇宙についての理論は、われわれが観測や実験で確かめた事実の延長上に打ち立てられなければならない。われわれは(ビッグバン理論のように、最初に宇宙誕生の姿を想像して、そこから現在の宇宙に進化するまでを推測して理論にするのではなく)、まず今の宇宙の姿を調べ、それを元にしてより遠い過去へ、より不明瞭な時代へと遡っていくべきである」

 これは、プラズマ宇宙論の基本的な考え方がボトムアップ的であり、トップダウン的であるビッグバン理論とは対極であるといえる。プラズマ宇宙論は、厳密な意味で定常宇宙論とは大きく異なる。プラズマの特性上それは必然と言える。つまりプラズマは一つの場所にとどまるということはしない。常に反発や引き合い、衝突などを繰り返し変化し続けている。それが積み重なり大きなスケールの変化が起き始め大規模な構造を作り出すと考えられている。その大規模構造はビッグバン理論が重視する重力ではなくプラズマの中を流れる電気と、それがつくりだす磁場によって形成される。このことは、現在ビッグバン宇宙論では説明の難しいグレートウォール (The Great Wall)などの大規模構造を解明する糸口になる可能性がある。

 プラズマの長さが1万光年から10万光年にも達するほど集まった場合、その中を巨大な電気が流れ出し、それが非常に大きな磁場を発生させる。次に電気と磁場の相互作用によってプラズマの形はさまざまな変化を見せる。隣接したプラズマのガスの柱どうしは引き付け合い、絡み合うことにより複雑な構造を作り出す。

 現在、プラズマ宇宙論は非主流派の理論である。しかし、成熟した体系である電磁流体力学(MagnetoHydroDynamics: MHD)を基盤とし、ともに発展してきたこの理論は非常に多くの成果を収めている。太陽のプロミネンス、渦巻銀河、宇宙の大規模構造に至るまで、他にも様々なスケールの問題に関して説明をしている。これからの観測技術の向上に伴い、今後の発展が期待される分野であると言える。


 この理論が最近注目されている理由の1つとして、ビッグバン理論の最大の弱点とされている「銀河形成と回転曲線問題」を解決した点を紹介しておきます。この理論によれば、ダークエネルギーやダークマターを持ち込まなくても説明できる点が画期的かと思います。

 「銀河形成と回転曲線問題」

 銀河形成のシミュレーションに成功し、天文学最大の謎、銀河の回転曲線問題も解決。

 
ロスアラモス国立研究所の物理学者であったアンソニー・ペラットは、ブラックジャックVと呼ばれる当時世界最大のパルス発電機でX線放射の実験を行っていた。発生したプラズマ・フィラメントはお互いの磁場で引き寄せられ、集合したプラズマは合体して螺旋を形成し、螺旋は強力なX線を放ち、銀河の螺旋構造と同じだったのである。この絡み合うフィラメントの中を流れる電流は、ビルケランド電流と呼ばれ、プラズマ宇宙論では重要な役割を果たす。

 かつてプラズマ宇宙論の創始者ハンネス・アルベーンの下で研究していたペラットは、この螺旋が銀河の渦巻構造を解明する手がかりとなると考えるにいたった。彼は当時最先端のプラズマ・シミュレーション・プログラム「SPLASH」を使い、プラズマの動態をシミュレーションし、多くの特徴的な銀河の渦巻が、完全に磁場の中を漂うプラズマ・フィラメントで再現できる事を発見した。

 これによって銀河における大きな謎であった銀河の回転曲線問題まで、解明する事ができた。この問題は銀河が重力によって支配されていると仮定すると、中心から外側に行くにつれて渦巻きの腕の速度が遅くなるはずである。しかし実際は外側も同じ一定の速度なのである。この矛盾を解決するために多くの研究者達は苦慮し天文学の大きな謎の1つとされ、見えない物質である暗黒物質が銀河を取り囲んでいると仮定し、この問題を解こうとしてきた。

 ペラットとジム・グリーンは、シミュレーションを繰り返すことによって暗黒物質を仮定せずにこの問題を解決したのである。プラズマによって支配されている銀河の渦巻きの腕は、例えると中心から伸びたバネのようなものである。このようなバネは全長にわたって同じ回転速度をもつことになる。それによってプラズマの圧縮が一定の曲線を作り出すことを示し回転曲線問題を磁場によって解決したのである。そのとき、曲線にうねりが見られたが、実際にそれは渦巻きの腕が回る際に行なうローリング運動として観測と一致したのである。

 これらの実験室で作られたミニチュア銀河はプラズマの特性の一つであるスケーラビリティーによって実験室レベルから太陽、銀河そして宇宙論レベルまで時間軸などの変数をかえるだけで広げる事が出来るのである。


 ■4 各論の特徴と問題点     (目次へ

 以降の説明では、ビッグバン理論に懐疑的な見方をしている サイト などを参考にしながら、各論の問題点なども取り上げてみたいと思います。引用部分はこの文字色で記述しました。ただし、見易さの観点から加筆・編集などをを行っています。ご了承ください。すべての引用元は明示してありますから、疑義を感じたら引用元をご参照ください。

  ■ 赤方偏移問題

    ビッグバンにより今も宇宙は膨張し続けています。遠くの天体ほど速く遠ざかっています。高速で遠ざかるほど光の波長は引き伸ばされ(ドップラー効果)赤外線の方向に偏移することから、観測された画像はより大きく赤方偏移しています。このことを最も単純に説明したのがビッグバン宇宙論です。観測された銀河の年齢は、この赤方偏移の値によって決められ、最新の宇宙の年齢は、ビッグバンを起点にして137.5億年とされています。

 この説明がビッグバン理論を決定的にした理由でもありますが、他の理論でもそれなりの説明をしているようです。これが正しければ、ビッグバン理論が決定的だとは言えなくなります。以下はその理由です。  「ビッグバン宇宙論懐疑派のざれごと」より引用。

光のエネルギー減衰説  1950年にシカゴ大学のウィリアム・マクミランが提唱した説です。 光が長い距離を飛ぶ間にエネルギーを失うため、エネルギーの高い青から低い赤へと変わる現象が赤方偏移になるという説です。

 なお、この変化は小さすぎるために、現在でもまだ銀河系内の星では確かめられていません
赤方偏移の量子減衰説  1974年にアリゾナ大学のウィリアム・ティフトが報告した現象です。 先に紹介した減衰説に似てますが、こちらは赤方偏移が72.4km/sの倍数で観測されているという説というか報告です。

 実際に観測されていると言う学者がいる一方で、まったく観測されてないと否定する学者が真っ向から対立しています。

 ちなみに、この量子減衰が実証された場合、ビッグバン宇宙論は完全に否定されることになるそうです。だからこそビッグバン宇宙論を信じている学者たちが、必死に否定してるのでしょうか。 ただし定常宇宙論ではこの量子化が実証されなくても、理論を否定されることはありません。
 高次元の地平線説  他にも宇宙が3次元ではなく4次元以上の空間である場合、空間のゆがみによって赤方偏移が起こるという説です。(提唱者未確認) これを地球上で考えると、水平線や地平線を考えるとイメージしやすいと思います。地面は平らなようで、離れるほど少しずつ傾いて見えるようになります。この傾きが3次元では光の赤方偏移になるという考え方です。

 また水平線や地平線の傾きは、遠く離れるほど加速度的に大きくなります。これを光の赤方偏移に当てはめると、宇宙が加速膨張して見えることになります。観測される加速膨張分が距離の3乗に比例していれば、その可能性はかなり高くなります。

  ■ 宇宙マイクロ波背景放射の疑問点

  ビッグバン宇宙論の本を読むと、ほとんどのものが背景放射がビッグバン宇宙論を証明したと書いています。その中にはビッグバン宇宙論だけが背景放射を説明できると断言している本まであります。 さて、それは本当でしょうか? たぶん、ビッグバン宇宙論を疑っている人の多くが、この背景放射に関する歴史の捏造に、強い不快感・不信感を持っています。
  
  まず最初に背景放射を理論的に予想したのは、ビッグバン宇宙論ではなくて定常宇宙論です。ビッグバン宇宙論との対立が始まる前から、定常宇宙論では観測から間接的に温度を試算していました。

  最初に背景放射を試算したのは、イギリスのアーサー・エディントンです。この時に試算された背景放射の温度は3.2Kです。続いてドイツのエルンスト・レゲナーが1930年頃に2.8Kと予想し、1941年にはカナダのA.マッケラーが2.3Kと予想します。

  一方でビッグバン宇宙論の方は、定常宇宙論との対立の中で、対抗するように試算されることとなりました。 最初に試算したのはアメリカのジョージ・ガモフで1947年のこと。定常宇宙論で最後に試算したマッケラーよりもあとで、その時の予想温度は28Kでした。その後ガモフは、2度にわたって計算をやり直しています。

 そして1964年に背景放射が発見され、その時の観測値は3.5Kでした。そしてその後下方修正され、宇宙の背景放射を3K放射と呼ぶ時代が長く続きます。 この時、一番近い予想を出したのは定常宇宙論の3.2Kないし2.8Kで、誤差は0.2Kです。それに対してビッグバン宇宙論の予想でもっとも近いものでも5Kでしたので、誤差は2Kになります。誤差が1桁も違うのは理論的には完敗です。

  
インフレーション宇宙論(1981年発表)

 
インフレーション宇宙論(1981年発表) ビッグバン宇宙論を正しいと考える人には、この突拍子もない発想が救いの神でしょう。このコロンブスの卵的な理論の登場により、それまでのビッグバン宇宙論の抱えていた矛盾の多くが解消されました。 一例を挙げれば;

宇宙の一様性 観測できる宇宙よりも実際の宇宙ははるかに広く、見かけ上一様に見える。 
宇宙の暗さ   インフレーションがなければ観測可能一番外側は宇宙が晴れる前の光の世界なので空は明るいはず。それが地球から見えない理由の説明になる。

 ただし、光の速さを超える物はないと定義しながら宇宙は光の速さを超える速さで膨張した時期があるとするのが、インフレーション宇宙論の肝であり、大きな矛盾です。 ところが、ほとんどの本はこの矛盾には触れず、ただインフレーションがあったとだけと記しています。それでも数少ない矛盾の説明として、以下の2つの考え方があるみたいですが、他にもあるのでしょうか?


1  現在の物理法則が完成する前の現象だから、光速を超えても問題はない。 
2  光速を超えたのは空間であって物質ではないので光速を超えても理論とは矛盾しない。

 余談ですが、最近の書籍等を見ていると上記(2)の考え方で統一されたように思えますが、実際に統一されたのでしょうか? これを物理的に正しい見解と見るか、詭弁と感じるか。それは人それぞれとは思いますが、私にはまるで天動説の周転円のように感じます。

  グレートウォール(1989年発見)

 
かつてビッグバン宇宙論では説明できない現象とされていた宇宙構造ですが、いつの間にかビッグバン宇宙論以外では説明できないと論調が変わったものです。 もっとも、実際には今もビッグバン宇宙論では十分に説明できていません。仮説があるというだけです。 

 まずは定常宇宙論では宇宙の大構造をどのように説明しているのでしょう。 まあ、定常宇宙論での説明は簡単です。重力の相互作用によって自然と泡構造ができて、それで落ち着くというものです。 ただし、重力だけでこの大きな泡構造が作られるためには、800億年から1500億年もの時間がかかります。ビッグバン宇宙論が算出した宇宙の年齢では完成しません。

  次にビッグバン宇宙論の説明です。2種類確認しました。

(1)  1つは宇宙誕生直後に生まれた泡がそのまま広がり、それが宇宙の大構造になったという考えです。 泡が生まれるというのは、ビッグバン直後に起きた物質と反物質がぶつかり合って消滅する対消滅のことです。この対消滅は一斉に起こったのではなく散発的に起こったため、空間に泡構造が生まれてグレートウォールができたという説明です。 もっとも、この考えには泡の発生は一斉ではないと言いつつ、泡構造の大きさが均一すぎるという問題を説明できません。また対消滅のあった場所が泡構造のヴォイド部分になると説明していますが、対消滅した中にも物質は残ってますし、グレートウォールになった部分にも反物質はあったはずなので、説明は初めから破綻していると思います。
(2)  ビッグバン後に新たに生まれた空間が、のちの天体の少ないヴォイド部分になると説いています。新たな空間が生まれる現象がインフレーションで、それは今も起きているから加速膨張していると考えているようです。

 この大構造、取り敢えずビッグバン宇宙論、定常宇宙論では説明できていますが、新しく出てきたプラズマ宇宙論ではまだ説明できていないという情報が流れてます。でも、これは明らかなウソですね。これもビッグバン宇宙論者によるウソでしょうか。 プラズマ宇宙論は天体の大構造を電磁流体力学で扱う理論です。天体は電磁力でまとまり、重力が粘性のように働くイメージでしょうか。粘性のある液体のように糸を引いたり、シャボン玉のような膜を作るという考えです。銀河の渦やグレートウォールを説明するためにできたような理論ですから、それが「説明できない」はずがありません。

 この大きなスケールの構造。直感的にはわかりやすいのですが、重力だけで泡構造を作る場合に比べ、どのくらい早く落ち着くのでしょうね?  それと最後に一点。このグレートウォールが説明できなかったのは初期のビッグバン宇宙論であって、インフレーション宇宙論の登場によって(グレートウォールを)ビッグバン宇宙論でも説明できるようになったという記述を見つけました。 理論的に予言したのであればともかく、インフレーション宇宙論の登場よりも、あとから見つかった大構造を先に発表された理論で説明できるようになったって、なにか矛盾のある物言いです。 ここにもビッグバン宇宙論者が行う歴史の捏造が見て取れます。


  ■ 宇宙の加速膨張(1998年発見)

 この発見以前のすべての教科書には、やがて宇宙は重力の影響で減速すると書かれています。もちろん、ビッグバン宇宙論の話です。 ところが、1998年に赤方偏移で見ると、宇宙は遠くにある天体ほど強く加速しながら離れていっていることがわかりました。 この現象についてビッグバン宇宙論を信じる学者の間から、「誰も予想してなかった」という言葉が漏れ、2006年ごろまでに出た科学系の番組や書籍では、たしかにそのように語っています。

  しかし、その言葉が2007年ごろから変わってきました。 どういうわけか「宇宙は我々の予想した通りに加速膨張していた」と言い出す学者(科学番組や書籍)が増えてきました。 2010年6月末時点では、まだ「以前は予想していなかった」と学者が語っている番組が流れていますが、これまでの流れを考えると、やがて宇宙の背景放射の時のように「予想していた」ことにされ、「ビッグバン宇宙論の勝利」と書かれた本や科学番組が大勢を占めるのでしょう。 これは現在進行形なので、注意していれば変化を見守れます。

  なお、定常宇宙論ではすでに上の赤方偏移の項で挙げたように、事前に加速膨張を予想する考えは出されていました。 それと量子論の中には、光速は波長が長いほど速いという理論的な予言があります。その考えによれば、光速を一定とする前提の元では赤方偏移によって加速して見えるという解釈になるそうです。


  ■ 宇暗黒物質、暗黒エネルギー(2015年時点では未発見)


 暗黒物質は観測されたという報告がある一方で、あれは通常物質による重力レンズを観測しただけという反論があるみたいなので、取り敢えずは未発見の扱いにしておきます。 まあ、それはともかく……。  この2つについて、定常宇宙論ではどのように考えているのでしょうか? このあたりに触れた文献を見たことがないので、まったくわかりません。たぶん暗黒物質と暗黒エネルギー(真空エネルギー)はビッグバン宇宙論を理論的に正当化するためだけに想定されたものなので、定常宇宙論ではまったく語ってないだけかと思います。

  この暗黒物質、暗黒エネルギーの考え方によれば、宇宙にある96%もの物質は見えない物質でできているそうです。 暗黒物質23%、暗黒エネルギー73%だそうです。

  この疑問は、ここまで触れずに来ました。理由はグレートウォールに触れたのあとの方が良いと思ったからです。 これはビッグバンで爆発膨張したのではなく、空間が広がっていると言い出したことから生まれた疑問です。 一点からの爆発膨張で広がってるためなら、太陽系や銀河系は局所的な存在なので、膨張していないことが説明できます。 ところが、暗黒物質などを持ち出して空間が広がっていると言い出したことから、この疑問が生まれました。

  2010年に入ってすぐ、この暗黒物質が未発見のヒッグス粒子ではないかという説が出ています。

  なお、プラズマ宇宙論では、これについて単純明快に説明しています。 暗黒物質と暗黒エネルギーは天体の運動を重力だけでは説明できないために想定した仮想の質量物質と謎の反重力エネルギーです。でも、宇宙スケールの天体運動を重力だけで考えているのは大間違いです。

 太陽系内では静電気の影響は小さいため、ほとんど重力だけで天体の動きを計算できます。ただし人工衛星ほど小さくなると静電気の影響を受けるため、時々軌道の微調整が必要になってきます。太陽風や光の圧力の影響という説明をしてますが…。 私たちの直感では重力は大きく静電気は弱いと考えますが、実際には重力は電磁力より10の38乗も弱い相互作用ですので、扱うスケールに対して天体が十分に小さい場合、静電気の影響は無視できない大きさになると考えられます。

 人工衛星のスケールですら、今の私たちの科学知識では静電気の影響を正確に計算できません。静電気が発生するという知見はありますが、それが軌道にどのような影響が出てるかまで計算できず、出てきたズレを小まめに補正しているだけです。この影響が銀河腕や、銀河団のスケールになったら、どれほどの影響が出てくるでしょうか。

 つまり、ちゃんと静電気の影響を考慮すれば、暗黒物質を想定する必要はまったくない。暗黒物質とエネルギーが計算上では宇宙の96%にもなるのも、静電気を無視した影響というわけです。まさに塵も積もれば山になります。

  言われてみると、宇宙スケールでの運動の議論を、私たちは重力でしか考えてませんよね。 ある程度以上のスケールになったら、電磁流体力学で考えるべきという話です。 また重力そのものが存在しないというエントロピック重力理論も提唱され、それでも暗黒物質はないと考えています。


  ■ 定常宇宙論の問題点

 すべての理論が万全ではありません。定常宇宙論には以下のような弱点があります。

重力の存在 定常宇宙論にとって最大の弱点は重力の存在です。

 それが問題となるのは、宇宙に果てがある場合です。果ての近くにある天体には、果ての外からの重力は働きません。そのため重力で中心方向へ引っ張られるため、いつかは重力で宇宙が潰れるビッグクランチを起こしてしまいます。これは宇宙は永遠という定常宇宙論そのものを否定する現象です。

 そこで宇宙が3次元空間(開いた宇宙、平坦な宇宙)である場合、無限の広がりが必要になります。ですが、そうなると次に触れる「オルバースのパラドックス」という問題が出てきます。

 ただし宇宙が4次元以上の空間で惑星の表面のように閉じたものであれば、定常宇宙論が成り立つための果てのない宇宙は可能となります。
オルバースのパラドックス   これは宇宙が無限に続いているとしたら、夜空は明るくなるはずという逆説です。 星の明るさは距離の2乗に反比例して弱くなります。ですが、その距離にある星の数は2乗に比例して増えます。つまり差し引きゼロです。

 そのため宇宙が無限に続いているとしたら、空に見える星の間がどんどん埋まって、やがては全天がまぶしいほど明るくなっているはずという理屈です。 乱暴な計算では全球が太陽なみの明るさになるので、空の明るさは18万倍。真昼の明るさは現在の4万倍になるそうです。

 もっとも、実際には星間ガスなどによって光は減衰するため、それほど明るくなりません。 それでも宇宙が平坦で無限に続いていれば、光の届く距離に限界がない限りは、今よりも明るくなるはずだそうです。

 この明るさに関する逆説は、ビッグバン宇宙論にもありました。ビッグバンで生まれてそのまま膨らんでいる宇宙では、観測できる一番外側ではまだ宇宙は晴れ上がってないので、その光で宇宙はもっと明るいはずというパラドックスです。
 元素の存在比   これも定常宇宙論の弱点になります。恒星は水素を燃料にして輝いています。なので宇宙が生まれてから時間が経てば経つほど、水素は少なくなるはずという理屈です。
 その考えに基づくと、現在の宇宙には水素が多くありすぎです。
 
 ですが、これにも突破口はあります。ブラックホールの存在です。
 ブラックホールはすべての物質を呑み込むのではなく、降着円盤とは鉛直方向へ水素や電磁波を放出しています。銀河も中央から円盤面とは鉛直方向へ長い水素の帯を出していますが、これが銀河中央にあるブラックホールによるものとは考えられないでしょうか?
 と書くと「ブラックホールはどんどん増えるんじゃないのか?」「ブラックホールは蒸発するけど、それまで何十兆年もかかるんじゃなかったか?」という意見が来るかと思いますが、それはあくまでも吸い込むものがなくて活動が休止したブラックホールの話です。
 星を吸い込むブラックホールは、その強い潮汐力で物質を引きちぎり、最終的には素粒子や電磁波レベルまで分解します。ですが、分解されたもののすべてがブラックホールに飲み込まれるわけではありません。ブラックホールは径が小さいため、重力で加速された素粒子や電磁波が重力を振り切って脱出します。それが降着円盤とは鉛直方向へ吐き出される水素や電磁波です。相対論効果もあって、ほとんどが宇宙空間へ戻されるのではないでしょうか。となれば、恒星が消費する水素とブラックホールが吐き出す水素が、どこかで拮抗きっこうして安定するはずです。それが今の元素の存在比であるとも考えられます。
 
 なお、この元素比ですが、実はビッグバン宇宙論にとっても大きな弱点になっています。ビッグバン宇宙論の標準理論では、水素とヘリウムの元素比は説明できても、3番目の元素であるリチウム以降の存在比が大きくなりすぎる弱みがあります。
 特にリチウムの存在比は、理論の3分の1もありません。

  ■ 銀河の渦巻き問題

 銀河は回転しており、銀河の渦巻きは不思議な動きをしています。銀河内を回転する星々の速度が、中心からの距離に関係なく同じ速度で回っています。

 経験則で考えると太陽系の惑星運動のように、外側の星ほどゆっくり回っても良さそうです。 現在、定常宇宙論では、この運動の説明はお手上げのようです。言及してないと思います。

 一方でビッグバン宇宙論では、この運動を暗黒物質とダークエネルギーによって説明しようと試みられています。  さて、最初に「不思議な動き」と書いた星の動きですが、よく考えると私たちにはなじみ深い動きです。

 実はこれ、ティーカップを攪き混ぜた時の回転する液体の動きや、川の流れと同じです。流体は曲がる時、流れの場所に関係なく同じ速度で動きます。

 つまり星の動きを重力だけで考えたニュートン力学で見ると不思議ですが、液体の動きとして見ると不思議でも何でもありません。これはまさにプラズマ宇宙論の唱える電磁流体力学です。プラズマ宇宙論が、すべて電磁流体力学だけで説明してるわけではありませんが。

 ティーカップを攪き混ぜた時に溶け残った砂糖やお茶っ葉などが真ん中に集まるのと同じように、銀河の中心にある巨大ブラックホールも回転運動によって真ん中へ寄せ集められたものと解釈できそうです。これは現在の宇宙論で考えられている、巨大ブラックホールの周りに星が集まって銀河ができるという考えとは、まったく逆です。となると銀河の中では、銀河平面に近い場所では星が内側へ向かう動きがあり、反対に円盤の表面では外側へ向かう流れがあるのかもしれませんが、どうなのでしょう。 それと中心からの距離に関係なく同じ速度で回っているということは、中央のブラックホールに吸われて、別の次元へ飛ばされるような動きはないということですね。

  ■ まとめ

 これまで触れた理論を表で要約してみました。(原文と多少異なります)

テーマ ビッグバン宇宙論 プラズマ宇宙論  定常宇宙論
 宇宙の容れ物  約138億年前発生、膨張中  (中立)  宇宙空間は定常で不変
 赤方偏移  宇宙が膨張しているため --- ・光子のエネルギー損
・高次元の地平線
 加速膨張  暗黒エネルギーの影響 ---  高次元のゆがみの影響など
 背景放射  後付けで修正・説明可能 ---  1941年までに計算済
 宇宙の大構造  宇宙膨張の影響  プラズマの流体力学で説明可能  時間をかければ重力のみで形成可能
 暗黒物質・エネルギー  重力の観測から存在を確信  プラズマの流体力学で説明0可能  存在しない
 銀河の渦巻き  暗黒物質の影響  流体としての動きそのもの  ---

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  (以上)